普通座面は、水平である。そして、背もたれがない場合、体の力学的な軸はほぼ垂直にある。
この姿勢が崩れるのは、骨盤の傾きが崩れて土台が崩れたり、体の筋力が低下して前後に傾いて自分の体重でもっと傾いて座りずらくなるときである。
ベルトを使わずにこれを修正するのは、背もたれを少し倒すか、座面の前を高くするしかない。
ベルトを使わないと書いたのは、身体拘束をさけるという世情があるからだ。
ただ、ベルトを使わないこれらの方法が本人の真の拘束を和らげるかと言えば、必ずしもそうとは言い切れない面もある。確かにいくらか精神的には楽になるであろう。
しかし、骨盤ではなく背中で座ることになるのである。
この方法が、本当に人間らしいといえるのか?
私は結局のところ、本人の選択権があって良いと思う。今の論議は介護者だけでされすぎである。