虫眼鏡で見ないといけないような大きさで、1から4の数字が1万桁書かれたとてつもなく長い紙があったとする。
それを正確に紙に書きうつさなくてはならないとする。一体どうすればいいだろうか。
ある人は目や頭が痛くなりながらも、ひとつずつ書きうつすだろう。しかし、それは持続的に困難な上、できたとしてもまず間違っている。一桁違ったりとんでいたりする。
ではどうするか?
一番端の何十桁かを控えた後、一万桁書かれた長い紙を何枚かコピ−し、すべての紙を同じ長さでなくても良いから適当に切断する。文字にかかってさえいなければどのように切っても良い。むしろ短かったり長かったりのほうがよい。その後、その紙をすべてかき混ぜる。
これで何枚かあったコピーは区別がつかなくなってしまう。
そして一つずつ取り出し、虫眼鏡で読みとっていく。少々間違っていると思っても次々書き取っていく。さらに早くしようとすれば、他の人に手伝ってもらえばよい。
そしてすべてを読みとった後、読みとった紙のみにする。
まず、控えた一番端の何十桁かの数字を含む紙を探し出す。コピーした数だけあるはずである。すべて長さが異なるので、200桁のものもあるし、100桁のものもあるだろう。短い方が長い方の一部と一致すれば良い。最低一対でよい。そして、ここでは仮にAを200桁の紙、Bを100桁の紙とする。
今度はBの100桁周辺を含む紙を探し出して、Bの紙に重複部分を重ねて貼り、Aと一致するかどうかを確認する。もし間違っていれば、また100桁周辺の紙を探し出し、貼り付ける。万一Aの101桁から200桁までとどうしても一致しなければ、Aが間違っているので、Aを選びなおす。
この作業を繰り返すと10000桁まで間違いなく写し取ることができる。
実はこれはゲノム解読の方法である。
コンピューターでは、一致するものがないということはまずあり得ないので、コピーは1つで良い。Aが間違っているから貼り直すと言うことはないのだ。1度一致すれば先にすぐ進むことができる。
しかし量が多すぎて、作業が進まないようにみえるのだ。
ちなみに今世界中で読みとられている人間のヒトゲノム解読は、ある特定のたった一人の人の遺伝子である。男性というだけで、国籍などの特定されるような情報は公表されていない。