(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】特許第3587098号(P3587098)
(24)【登録日】平成16年8月20日(2004.8.20)
(45)【発行日】平成16年11月10日(2004.11.10)
(54)【発明の名称】電動式車椅子操作装置
(51)【国際特許分類第7版】

A61G 5/04
【FI】

A61G 5/04 504
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願平11−241952
(22)【出願日】平成11年7月27日(1999.7.27)
(65)【公開番号】特開2001−37818(P2001−37818A)
(43)【公開日】平成13年2月13日(2001.2.13)
【審査請求日】平成13年11月29日(2001.11.29)
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡または実施許諾の用意がある
(73)【特許権者】
【識別番号】599120484
【氏名又は名称】水田秋敏
【住所又は居所】
(72)【発明者】
【氏名】水田 秋敏
【住所又は居所】
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平8−126126(JP,A)
【文献】実開平2−149228(JP,U)
【文献】特開昭57−17650(JP,A)
【文献】特開昭50−114733(JP,A)
【文献】特開昭48−49290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.7,DB名)
A61G 5/04

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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池並びに電動モータを備え、電動モータの駆動力により推進される車椅子において、前記電動式車椅子を操作するためのコントローラー50内の内壁部が湾曲を有しており、前記コントローラー50内の内壁部の湾曲上に、電源スイッチ4、一時停止スイッチ1、前記一時停止スイッチとは異なる一時停止スイッチ7a・7b、後進スイッチ6a・6b、最小半径左折用スイッチ2、最小半径右折用スイッチ3を設け、中心には心棒Oがあり、前記心棒Oの両端には前進用可変抵抗器8a・8bが接続され、前記心棒Oの動作により作動する前後進切替スイッチ5と、前記心棒Oが連動するシフトレバーJ、並びに、操作補助兼用ワイヤー保持具Kを設け、前記シフトレバーJには、操作用ワイヤーMが固着され、操作補助兼用ワイヤー保持具Kの内部を通り、コントローラー50の外部に伸び至るとともに、前記コントローラー50外部に伸びた操作用ワイヤーM先端部に操作用リングLを取付けるとともに、コントローラー50内部に後進用可変抵抗器9a・9bを備えたことを特徴とする電動式車椅子操作装置
【請求項2】
前記コントローラー50内部の後進スイッチ6a・6b、一時停止スイッチ7a・7b、並びに前進用可変抵抗器8a・8b及び後進用可変抵抗器9a・9bは、左動輪用並びに右動輪用と各々対で備えたことを特徴とする請求項1記載の電動式車椅子の操作装置
【請求項3】
前記操作用ワイヤーM先端部のリングLを、希望の走行動作操作位置に引くことにより、前記操作用ワイヤーMに連動している操作補助兼用ワイヤー保持具K並びに前記シフトレバーJが湾曲面に沿って円を描きながら希望の走行作動位置に動くことにより、走行に伴う必要な前記各スイッチに触れ作動するとともに、前記シフトレバーJに連動している前記心棒Oが動き、前進可変抵抗器8a・8b或は後進用可変抵抗器9a・9bを作動し、前記心棒Oの動作により前後進切替スイッチが作動するとともに、かつ、逆に操作用リングL及び前記操作補助兼用ワイヤー保持具Kを用いて希望の走行動作操作位置に押し戻すことで、前記シフトレバーJが戻り希望の走行作動位置に動くことにより、走行に伴う必要な前記各スイッチに触れ作動するとともに、前記シフトレバーJに連動して前記心棒Oが連動し、前進可変抵抗器8a・8b或は後進用可変抵抗器9a・9bが作動し、前記心棒Oの動作により、前後進切替スイッチ5が作動し走行することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動式車椅子操作装置
【請求項4】
請求項1記載の電動式車椅子操作装置において、前進用可変抵抗器8a、後進用可変抵抗器9aに配線される3本の導線▲1▼・▲2▼・▲3▼、並びに、前進用可変抵抗器8b、後進用可変抵抗器9bに配線される3本の導線▲4▼・▲5▼・▲6▼の内、導線▲3▼に最小半径左折用スイッチ2を、導線▲4▼に最小半径右折用スイッチ3を設けるように形成された電動式車椅子操作装置
【請求項5】
請求項1記載の電動式車椅子操作装置において、コントローラー50内部に設けられた電源スイッチ4は、コントローラー50外部のタイマー51に接続され、前記タイマー51に接続するラチェットリレー52を開閉し電源を開閉するためのもので、前記タイマー51から蓄電池に配線されるように形成された電動式車椅子操作装置
【請求項6】
請求項1記載の電動式車椅子操作装置において、操作用ワイヤーM、並びに、ベルト部が切断されると電流が止まり車椅子が停止するように形成された電動式車椅子操作装置

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電動式車椅子の操作装置に関するものである。詳しくは、関節の屈伸のみで電動車椅子の走行をコントロールする操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の電動式車椅子としての電動四輪車の一例であって、肘掛の一方(ここでは左側)のアーム部にジョイスティックとその操作ボックスが、取り付けられているものがほとんどである。
【0003】
ジョイスティックとその操作ボックスは、玉継手を介して左右前後に自在に動くジョイスティックノブ11が立設されたおり、このジョイスティックノブ11を所望の方向に傾けることにより、電動四輪車の前・後進や右・左折ができるようになっているのが一般的である。
【0004】
ジョイスティックノブ11には、ニュートラル状態に自動的に戻るようにリターンスプリングの弾撥力が作用するようになっているが、電動車椅子を使用する人の中には、アテトーゼ型脳性麻痺患者のように不随意運動(動かそうと思わないのに、四肢や頚などが勝手に動いてしまう)がみられたり、痙直型脳性麻痺患者のように筋肉の高い緊張により、随意的運動(不随意運動ではない)が阻害されたり、また、筋ジストロフィー患者のように、手指の力が極めて弱いなど、思うようにジョイスティックの操作、或は、リターンスプリングの弾撥力に抗してジョイスティックノブ11の操作を十分に行えない人もおり、そのような人にとっては、自由に電動車椅子に乗ることができず不自由な生活を余儀なくされている。
【0005】
また、最近では、入力式といわれるもので、肘掛の一方のアーム部の辺りにパネル状の走行用操作装置を取り付け、方向位置を触ったり離したりするすることで操作できるもの、或は、呼吸・音声・まばたきなどによって操作できる電動式車椅子等が工夫されているが、それらは、直進時若しくは同じ駆動状態を維持しつづける時には問題はないが、右左折等の方向転換に多少の時間を要するとともに、コンピュータなどを組み込み使用することから大掛かりとなり、電動式車椅子自体が高価であるにも関わらず、尚更高価なものになってしまう虞がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前述の点に鑑み発明されたものであって、解決しようとする課題は、アテトーゼ型脳性麻痺患者のように不随意運動がみられたり、痙直型脳性麻痺患者のように筋肉の高い緊張により、随意的運動が阻害されたり、また、筋ジストロフィー患者のように、手指の力が極めて弱いなど、ジョイスティックの操作、或は、リターンスプリングの弾撥力に抗してノブの操作を十分に行えない人でも、人体の随意的に動かせる関節可動域があれば操作することができる電動式車椅子の操作装置を提供することを目的としている。
【0007】
そしてまた、一入力式、例えば、呼吸・音声・まばたきなどによって操作できる電動式車椅子の方向転換(右左折等)時にかかる時間的問題を解消することで、標準型のジョイスティック操作で動く電動式車椅子の走行移動時間と大差がないようにし、尚且つ、コンピュータなどを組み込むことなく、それゆえ大掛かりにならずに、安価に製造できる電動式車椅子の操作装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで前記目的を達成するために、本発明の電動式車椅子の操作装置は次のようなものである。それは、蓄電池並びに電動モータを備え、電動モータの駆動力により推進される従来のジョイスティック操作による電動式車椅子で、ジョイスティックを除去したそのコントロールボックスから、メインコントローラーに至る部分において新たに発明したものである。
【0009】
それは、電動式車椅子を操作するためのコントローラー50内の内壁部が湾曲を有しており、前記コントローラー50内の内壁部の湾曲上に、コントローラー50外部のタイマー51に接続され、前記タイマー61に接続するラチェットリレー52を開閉し電源を開閉するための電源スイッチ4、一時停止スイッチ1、前記一時停止スイッチとは異なる一時停止スイッチ7a・7b、後進スイッチ6a・6b、最小半径左折用スイッチ2、最小半径右折用スイッチ3を設け、中心には心棒Oがあり、前記心棒Oの両端には前進用可変抵抗器8a・8bが接続され、前記心棒の動作により作動する前後進切替スイッチ5と、前記心棒が連動するシフトレバーJ、並びに、操作補助兼用ワイヤー保持具Kを設け、前記シフトレバーJには、操作用ワイヤーMが固着され、操作補助兼用ワイヤー保持具Kの内部を通り、コントローラーの外部に伸び至るとともに、前記コントローラー50外部に伸びた操作用ワイヤー先端部に操作用リングLを取付けるとともに、コントローラー50内部の適所に後進用可変抵抗器9a・9bを備えた電動式車椅子の操作装置を提供することで解決するものである。
【0010】
したがって、本発明によれば、コントロール内の内壁部を湾曲にし、内壁部の湾曲上に、各スイッチ類が並んでいることから、電動式車椅子の任意の駆動を行うときに、シフトレバーの往復運動だけで行うことが可能になり、その操作は、各スイッチを作動するシフトレバーに固着・繋がっている操作用ワイヤーの他方の先端部にある操作用リングと、操作用ワイヤーが内部をとおる操作補助兼用ワイヤー保持具の動作、すなわち操作用リング内にとおした身体の一部の関節部の屈伸で、電動式車椅子の操作を可能にした電動車椅子操作装置である。
【0011】
また、前記コントローラー50内部の後進スイッチ6a・6b、一時停止スイッチ7a・7b、並びに前進用可変抵抗器8a・8b及び後進用可変抵抗器9a・9bは、左動輪用並びに右動輪用と各々対で備えることで、左右の動輪を個々に操作できるようにしたものである。
【0012】
そして、操作用ワイヤー先端部のリングLを希望の走行動作操作位置に引くことにより、前記操作用ワイヤーMに連動している操作補助兼用ワイヤー保持具K並びに前記シフトレバーJが湾曲面に沿って円を描きながら希望の走行作動位置に動くことにより、走行に伴う必要な前記各スイッチに触れ作動するとともに、前記シフトレバーJに連動している前記心棒Oが動き、前進可変抵抗器8a・8b或は後進用可変抵抗器9a・9bを作動し、また、前記心棒Oの動作により前後進切替スイッチが作動するとともに、また、逆に操作用リングL及び前記操作補助兼用ワイヤー保持具Kを用いて希望の走行動作操作位置に押し戻すことで、前記シフトレバーJが戻り希望の走行作動位置に動くことにより、走行に伴う必要な前記各スイッチに触れ作動するとともに、前記シフトレバーJに連動して前記心棒Oが連動し、前進可変抵抗器8a・8b成は後進用可変抵抗器9a・9bが作動し、前記心棒Oの動作により、前後進切替スイッチが作動し走行する電動車椅子とするものである。
【0013】
したがって、本発明では、随意する関節部に操作用リングを装着し、シフトレバーに固着繋がっている操作用ワイヤーを引いたり、操作補助兼用ワイヤー保持具を用いて操作用ワイヤーを押すだけで、任意の走行が可能になるものでり、また、スプリング等の力を利用していないことから、操作時に必要となる力は、希望の走行作動位置に引いたり押したりするときだけであり、走行動作を変えなり限りは、一切力を必要としなくても、電動式車椅子の操作を可能にした電動車椅子操作装置である。
【0014】
加えて、前進用可変抵抗器8a、後進用可変抵抗器9aに配線される3本の導線▲1▼・▲2▼・▲3▼、並びに、前進用可変抵抗器8b、後進用可変抵抗器9bに配線される3本の導線▲4▼・▲5▼・▲6▼の内、導線▲3▼に最小半径左折用スイッチ2を、導線▲4▼に最小半径右折用スイッチ3を設けるように形成することにより、通常、可変抵抗が左右同抵抗にあることで直進或いは後進し、また、抵抗の係った方の動輪の回転スピードが落ち、曲がっていくことから、シフトレバーJが、最小半径左折用スイッチ2と、最小半径右折用スイッチ3の間の中間部分にあるときは、左右が同抵抗にあることから直進域とし、その左側部分を左右の抵抗の違いにより、左折域、右側部分を右折域とするとともに、最小半径左折用スイッチ2がシフトレバーJによってスイッチが入ると、導線▲3▼の電流の流れが遮断され、動輪が止まり鋭角で左折ができ、また、同様に最小半径右折用スイッチをシフトレバーJによってスイッチが入ると、導線▲4▼の電流の流れが遮断され、動輪が止まり鋭角で右折ができるように、電動式車椅子の操作を可能にした電動車椅子操作装置である。
【0015】
また、コントロールボックス内標準回路54より配線される導線上に、介助者用スイッチ55を設け、前記スイッチより直列に導線を延長し、シフトレバーJに接続を行い、シフトレバーJに固着されている操作用ワイヤーM自体に導線の役割を持たせ、操作用ワイヤーMが操作用リングLを一周したところで導線を接続するとともに、その導線の延長上にはベルト部安全装置を設けてあり、そしてラチェットリレー52を通りコントロールボックス内標準回路54に配線するように形成することで、万一走行時にワイヤーが切断してしまったり、コントローラーを固定するベルトが外れたりした場合でも、電動式車椅子が暴走することを防止できるように、電動車椅子の走行操作時の安全面をも確保した電動車椅子操作装置である。
【0016】
【作用】
本発明によれば、アテトーゼ型脳性麻痺患者のように不随意運動がみられたり、痙直型脳性麻痺患者のように筋肉の高い緊張により、随意的運動が阻害されたり、また、筋ジストロフィー患者のように、手指の力が極めて弱いなど、思うようにジョイスティックの操作、或は、リターンスプリングの弾撥力に抗してノブの操作を十分に行えない人でも、人体の随意的に動かせる関節可動域があれば楽に操作ができるとともに、安全面でもワイヤーが切断されると電流の流れが止まり電動式車椅子が自動的に停止し、また、緊張で関節が硬直すると、硬直したことで電源スイッチが押されOFFとなり電動式車椅子が停止するため、安心して走行することができ、また、右左折時等の方向転換を、標準のジョイスティック操作の電動車椅子が要する時間と大差なく行えるようにし、尚且つ、コンピュータなどを組み込まないことから、大掛かりな構造を必要とせず、安価に製造できるものである。
【0017】
【実施例】
以下本発明の一実施例について図面を参照しながら具体的に説明する。また、説明するにあたり、随意的に動かせる関節を小指として、以下説明するものとする。
【0018】
図1は、コントローラー部を左側面から見た模式図で、図2は、図1の中心にある左右の可変抵抗器と操作用ワイヤーで繋がっている操作用リング、並びに操作補助兼用ワイヤー保持具部分を上部から見た模式図である。また、図3は本発明の回路図であり、図4は小指の屈伸とコントローラー内部のシフトレバーの位置と、それに伴う車椅子の状態を示したフローチャートであり、第5図は、本発明による電動式車椅子操作装置を使用した電動式車椅子を示す参考斜視図である。
【0019】
第6図は、従来のジョイスティックを用いた電動式車椅子であるが、この場合、肘掛の一方(ここでは左側)のアーム部に左右前後に自在に動くジョイスティックノブ11が立設されており、このジョイスティックノブ11を所望の方向に傾けることにより電動式車椅子の前・後進や右・左折ができるようになっているが、本発明の電動式車椅子操作装置は図5のように、アーム部等に操作用ジョイスティックノブ11などが立設されておらず、コントローラー50が指先部の先の当たりにあり、手首でベルトにより固定されている。(前記述べた通り、随意的に動く部分が小指としている。)
【0020】
指先部の先のあたりにある、内壁部が湾曲を有するコントローラー50から、操作用ワイヤーMが伸び、操作補助兼用ワイヤー保持具Kの内部を通り、随意的に動く小指と操作用リングLを介して結ばれており、また、操作用ワイヤーMの他方の一端はコントローラー50内部にあるシフトレバーJに固着されており、小指の関節の屈伸の動きと操作補助兼用ワイヤー保持具KでシフトレバーJが、円状に円を描くように動くものである。そのときシフトレバーJに連動する、コントローラー内部の中心にある心棒Oと、その両端に左前進用可変抵抗器8a、並びに右前進用可変抵抗器8bが接続され、同様に心棒Oの動作により作動する前後進切替スイッチ5が設けてあるとともに、コントローラー50内部の適所に後進用可変抵抗器9a・9bを備え持ち、また、小指の関節の屈伸の動きと操作補助兼用ワイヤー保持具Kの動きによって操作用ワイヤーMが動作し、それに連動してシフトレバーJは往復運動をすることで、コントローラー50内部にある、電動式車椅子を操作するために設けられた、コントローラー50外部のタイマー51に接続され、前記タイマー51に接続するラチェットリレー52を開閉し電源を開閉するための電源スイッチ4、一時停止スイッチ1、前記一時停止スイッチとは異なる左動輪用一時停止スイッチ7a、右動輪用一時停止スイッチ7b、左後進スイッチ6a、右後進スイッチ6b、最小半径左折用スイッチ2、最小半径右折用スイッチ3を作動し推進するものである。
【0021】
また、図3おいて、前進用可変抵抗器8a、後進用可変抵抗器9aに配線される3本の導線▲1▼・▲2▼・▲3▼、並びに、前進用可変抵抗器8b、後進用可変抵抗器9bに配線される3本の導線▲4▼・▲5▼・▲6▼の内、導線▲3▼に最小半径左折用スイッチ2を、導線▲4▼に最小半径右折用スイッチ3を設けるように形成し、シフトレバーJの動きにより最小半径左折用スイッチ2を作動させることで、導線▲3▼の電流の流れが遮断され、左側動輪が止まり鋭角で左折ができ、また、同様にシフトレバーJの動きにより最小半径右折用スイッチ3を作動させることで、導線▲4▼の電流の流れが遮断され、右側動輪が止まり鋭角で右折ができるように形成されている。
【0022】
そして、患者本人が車椅子上から本車椅子を始動或は停止するためのスイッチ4は、コントローラー50外部のタイマー51に接続され、タイマー51に接続するラチェットリレー52を開閉し電源を開閉するためのもので、タイマー51から蓄電池に配線されるように形成されており、またこのとき、シフトレバーJによってスイッチ4を作動するにおいて、タイマー設定が0〜10秒の任意の時間設定が可能であることから、操作時等に誤作動することを防止できるものであり、また、コントロールボックス内標準回路54より配線される導線上に、介助者用スイッチ55を設け、前記スイッチより直列に導線を延長し、シフトレバーJに接続を行い、シフトレバーJに固着されている操作用ワイヤーM自体に導線の役割を持たせ、操作用ワイヤーMが操作用リングLを一周したところで導線を接続するもので、この部分がワイヤー安全装置58となり、そしてその導線の延長上にはベルト部安全装置を設けてあり、そしてラチェットリレー52に繋ぎ、それを通りコントロールボックス内標準回路54に配線するように形成することで、万一走行時にワイヤーが切断してしまったり、コントローラーを固定するベルトが外れた場合でも、電動式車椅子が暴走することを防止できるように、電動車椅子の走行操作時の安全面をも確保するものである。
【0023】
本発明の電動式車椅子において、随意運動できる関節(前記述べた通り、随意的に動く部分を小指とする)と駆動の関係を図1及び図4で説明するものとする。
【0024】
電源の入I、切Hは、シフトレバーJを電源スイッチ4の位置まで小指を曲げ、(このとき左右の後進スイッチ6a・6b並びに左右の一時停止スイッチ7a・7bにもシフトレバーJは触れている)、任意のタイマー設定した秒数間、小指を曲げていることで電源が入り、そして前進する場合は、一時停止スイッチAへ、すなわち小指を動かしシフトレバーJを一時停止スイッチ1を入れることで(このとき最小半径左折スイッチにシフトレバーJは触れている)、同時に前後進切替スイッチ5が動作し前進する状態となり、その後、左折B、直進C、右折Dの所望の位置、すなわち小指を動かしシフトレバーJを最小半径左折スイッチ2から最小半径右折スイッチの間を、車椅子が移動する方向に合わせて動かすことで任意に前に推進するものであり、また、後進する場合は、一時停止Gへ、すなわち、小指を動かしシフトレバーJを一時停止スイッチ7a・7b(このとき後進スイッチ6a・6bにもシフトレバーJは触れている)に動かすことで、同時に前後進切替スイッチ5が動作し後進が可能となり、その後、後退Fへ、すなわち小指を動かしシフトレバーJを後進スイッチ6a・6bに触れている間だけ、車椅子が後に推進するものである。
【0025】
後進から前進に戻す場合は、一時停止Aへ、すなわち、小指を動かしシフトレバーJを一時停止スイッチ1に動かすことで、同時に前後進切替スイッチ5が動作し前進する状態となり、その後は前記操作方法と同様である。また、一時停止E1・E2は、シフトレバーJが最小半径右折スイッチ3、電源スイッチ4、後退スイッチ6a・6b、一時停止スイッチ7a・7bの間にあり、何らスイッチにも触れていない状態にあるときで、一時停止E1は、電動車椅子が前進している状態から、上記の位置に移動あるいは通過する場合のときで、一時停止E2は逆に電動車椅子が後進している状態から、上記の位置に移動あるいは通過する場合のときを示している
【0026】
前述のように、随意運動できる関節(前記述べた通り、随意的に動く部分を小指とする)と駆動の関係により、患者が電動式車椅子に乗り、まず、随意的に動かせる関節、ここでは小指に操作用リングLを装着し、介助者により介助者用スイッチ55・57をONにし、患者自身が小指の屈曲により操作用リングLを介して操作用ワイヤーMを引き、シフトレバーJを電源スイッチ4の位置まで移動させ(このとき左右の後進スイッチ6a・6b並びに左右の一時停止スイッチ7a・7bにもシフトレバーJは触れている)、任意の時間小指を曲げつづけることで、電源が入り、前進する場合には、小指を伸展し操作補助兼用ワイヤー保持具Kを押し上げそれに連動する、シフトレバーJを一時停止スイッチ1の位置に移動し、一時停止スイッチ1を入れ(このとき最小半径左折スイッチにシフトレバーJは触れている)、それと同時に前後進切替スイッチ5が動作し前進する状態となり、小指を屈曲しシフトレバーJを最小半径左折スイッチ2から最小半径右折スイッチの間の、車椅子を移動したい方向に合わせて動かすことで所望の方向に動くものであり、また、後進する場合は、小指を屈曲しシフトレバーJを一時停止スイッチ7a・7b(このとき後進スイッチ6a・6bにもシフトレバーJは触れている)に動かすことで、同時に前後進切替スイッチ5が動作し後進が可能となったのち、小指を伸展し操作補助兼用ワイヤー保持具Kを押し上げそれに連動するシフトレバーJを、後進スイッチ6a・6bの位置に移動し、後進スイッチ6a・6bに触れている間だけ、車椅子が後進するものである。そして電源を切る場合は、入れるとき同様、小指を屈曲しシフトレバーJを電源スイッチ4の位置まで移動させ(このとき左右の後進スイッチ6a・6b並びに左右の一時停止スイッチ7a・7bにもシフトレバーJは触れている)、任意の時間小指を曲げつづけることで、電源が切れるものである。
【0027】
コントローラー50内部に設けられ、シフトレバーJによってON/OFFが行われる各スイッチはマイクロスイッチが好ましく、また、後進スイッチ6a・6b並びに左右の一時停止スイッチ7a・7bは、殆ど側面から見ると同列に設けられているように見えるが、シフトレバーJが最小半径右折スイッチの方から移動してきた場合、後進スイッチ6a・6b、左右の一時停止スイッチ7a・7b、電源スイッチ4の順に触れていくように設けられているものである。
【0028】
【発明の効果】
上述のように構成された本発明によれば、アテトーゼ型脳性麻痺患者のように不随意運動がみられたり、痙直型脳性麻痺患者のように筋肉の高い緊張により、随意的運動が阻害されたり、また、筋ジストロフィー患者のように、手指の力が極めて弱いなど、思うようにジョイスティックの操作、或は、リターンスプリングの弾撥力に抗してジョイスティックノブの操作を十分に行えない人でも、人体の随意的に動かせる関節可動域があれば楽に操作ができるとともに、安全面でもワイヤーが切断されると電流の流れが止まり電動式車椅子が自動的に停止し、また、緊張で関節が硬直すると、硬直したことで電源スイッチが押されOFFとなり電動式車椅子が停止するため、安心して走行することができ、また、右左折時等の方向転換を、標準のジョイスティック操作の電動車椅子が要する時間と大差なく行えるようにし、尚且つ、コンピュータなどを組み込まないことから、大掛かりな構造を必要とせず、安価に製造できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電動式車椅子操作装置のコントローラー部を示す左側面から見た模式図である。
【図2】図1の中心にある左右の可変抵抗器と操作用ワイヤーで繋がっている操作用リング、並びに操作補助兼用ワイヤー保持具部分を示す上部から見た模式図である。
【図3】本発明による電動式車椅子操作装置を示す回路図である。
【図4】本発明による電動式車椅子操作装置において作動操作時における、小指の屈伸とコントロール内部のシフトレバーの位置と、それに伴う車椅子の状態を示したフローチャート図である。
【図5】本発明による電動式車椅子操作装置を使用した電動式車椅子を示す参考斜視図である。
【図6】本発明の電動式車椅子操作装置を使用しない、従来のジョイスティックを用いた電動式車椅子を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 一時停止スイッチ
2 最小半径左折用スイッチ
3 最小半径右折用スイッチ
4 電源スイッチ
5 前後進切替スイッチ
6a 左動輪用後進スイッチ
6b 右動輪用後進スイッチ
7a 左動輪用一時停止スイッチ
7b 右動輪用一時停止スイッチ
8a 左前進用可変抵抗器
8b 右前進用可変抵抗器
9a 左後進用可変抵抗器
9b 右後進用可変抵抗器
11 ジョイスティックノブ
50 コントローラー部
51 タイマー
52 ラチェットリレー
53 蓄電池(バッテリー)
54 コントロールボックス内標準回路
55 介助者用スイッチ(メインコントローラー用)
56 ベルト部用安全スイッチ
57 介助者用スイッチ(ラチェットリレー・タイマー・ランプ用)
58 ワイヤー安全装置
J シフトレバー
K 操作補助兼用ワイヤー保持具
L 操作用リング
M 操作用ワイヤー
O 心棒
▲1▼〜▲6▼ 導線

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【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電動式車椅子操作装置のコントローラー部を示す左側面から見た模式図である。
【図2】図1の中心にある左右の可変抵抗器と操作用ワイヤーで繋がっている操作用リング、並びに操作補助兼用ワイヤー保持具部分を示す上部から見た模式図である。
【図3】本発明による電動式車椅子操作装置を示す回路図である。
【図4】本発明による電動式車椅子操作装置において作動操作時における、小指の屈伸とコントロール内部のシフトレバーの位置と、それに伴う車椅子の状態を示したフローチャート図である。
【図5】本発明による電動式車椅子操作装置を使用した電動式車椅子を示す参考斜視図である。
【図6】本発明の電動式車椅子操作装置を使用しない、従来のジョイスティックを用いた電動式車椅子を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 一時停止スイッチ
2 最小半径左折用スイッチ
3 最小半径右折用スイッチ
4 電源スイッチ
5 前後進切替スイッチ
6a 左動輪用後進スイッチ
6b 右動輪用後進スイッチ
7a 左動輪用一時停止スイッチ
7b 右動輪用一時停止スイッチ
8a 左前進用可変抵抗器
8b 右前進用可変抵抗器
9a 左後進用可変抵抗器
9b 右後進用可変抵抗器
11 ジョイスティックノブ
50 コントローラー部
51 タイマー
52 ラチェットリレー
53 蓄電池(バッテリー)
54 コントロールボックス内標準回路
55 介助者用スイッチ(メインコントローラー用)
56 ベルト部用安全スイッチ
57 介助者用スイッチ(ラチェットリレー・タイマー・ランプ用)
58 ワイヤー安全装置
J シフトレバー
K 操作補助兼用ワイヤー保持具
L 操作用リング
M 操作用ワイヤー
O 心棒
▲1▼〜▲6▼ 導線



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