法律の用語に「相当因果関係」という言葉がある。
まず、単なる「因果関係」から説明すると、事象Cがあったがために事象Dが起こったということである。
たとえば、AがBをピストルで殺したとする。
Aの母親がAを産んだという事象は、殺人という事象を起こしたから、二つの事象の間には「因果関係」がある。しかし、それを言えば、Aにピストルを渡した人、Aを殺人現場まで載せたタクシーの運転手、被害者Bが生まれてきたこと、などはすべて殺人に因果関係がある。
そこで「相当」という言葉が接頭語としてつくことになる。
これは何を意味しているかというと、責任の範囲である。
AにBを殺すよう依頼した人の存在は、この殺人と相当因果関係を持ち、刑法上の責任が問われる。
本当の事例では、もっと微妙で境が難しいものが多くある。