飼育

 大江健三郎の「飼育」を読み返してみた。
 彼独特の固有名詞の消失、人種間の問題、戦争問題、ムラ意識問題などをたんたんと描き出している。
 水害で交通が遮断された小さなムラ。いつもは通り過ぎるはずのアメリカ戦闘機が墜落。
 乗組員3人のうち1人の黒人兵だけは負傷しながらも生き残り、主人公の少年の家の離れの地下倉庫に閉じこめられて「飼われる」ことになるのだが……。
 芥川賞受賞作品。これを踏み台として、芥川賞審査員、ノーベル賞作家へと登り詰める大江。是非一読してください。

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