医療従事者には誰しも「最初」がある。
 何をしていいか分からない事なんて、いつもたくさんある。
 ただ、医療従事者は患者さんに、直接そんなことは言わないし、知ってるふりをする。医師、看護婦、私たち理学療法士だって例外ではない。
 何年やっていても、「この疾患のあのことが分からない」と、直接接する患者さんの顔を見ながら思うことがある。
 医療以外の分野の人たちは、医師は神経の一本一本、あらゆる疾患を何でも知っているように思っているし、理学療法士に対してもリハビリに関しては「知らない」なんて、よもや言わないと思っているだろう。
 以前病院で勤めていた頃は、医療関係者間では「どうしてなんだ?とりあえずこうしたけど」なんて会話は日常茶飯事だった。
 素人の人は、これらのことは許されない事と思うだろうが、一個の個人が勉強して覚えていることなんてたかが知れている。こういった会話が裏で出てくることはむしろ健全ではないかと思っている。
 何も出なくなったら、よほど天才級の人がそろっているか、医療従事者間でさえ知ったかぶりをしているかだろう。
 いずれにしても、本を開いたり臨床で勉強する必要性は退職するまでは消えはしない。そこがまた面白いのだが。

        ブレイクタイムヘ           ホームページヘ