学生時代の事故や病気で重い障害を負ったにもかかわらず、国民年金に当時加入していなかったために障害基礎年金を受給できないのは違憲、違法だとして、各地の26人が5日、社会保険庁長官と国を相手に、不支給処分の取り消しと1人2000万円の損害賠償を求める訴訟を8地裁で起こした。91年からは学生も国民年金の強制加入対象とされており、それ以前に障害を負った人の「無年金」問題の解消を訴えている。
訴状によると、原告らは91年の制度改正以前に、20歳を過ぎてからの事故や病気で障害者となった。障害基礎年金の支給対象は国民年金加入者に限られるため受給できなかった。社会保険庁に審査請求したが棄却された。
原告側は、同じ学生でも障害の原因が生じた時期が20歳未満であれば支給されることや、制度改正以降の取り扱い(管理人談〜91年からは強制加入、2000年4月からは、20歳以降でも学生であれば、掛け金を猶予される)と比較し、「不支給処分は不合理な差別であり違憲、違法だ」と主張。さらに、制度改正前にも学生を対象とした任意加入の制度があったのに国は十分な周知徹底を図らなかったと指摘している。
(H13.07.05の朝日新聞より)
管理人談
社会保険庁は、91年以前も20歳以降の任意支払制度を設けていたので、国の不作為を理由にすることは難しいと考える。お金を出していない者(非拠出者)に年金を出すことを認めれば、国民年金に加入する者は誰もいなくなってしまう。社会保険制度は根底から覆される。
結局この裁判は、同様の障害者10万人という規模から考えても、お気の毒だが、無年金障害者が勝訴することはないと思う。