プロ野球史上初めてストライキが行われている。
合併の一年凍結を要求してのストライキだったはずが、いつの間にか「新規参入を2006年からではなく、2005年から認めてくれ」という、なんともしょぼいものになってしまっている。
形の上では、結局2005年からの新規参入という選手側の要求を経営陣が認めて終わってしまうだろう。しかし、現実的には経営陣の大勝利の感をぬぐえない。別に経営陣にとっては近鉄とオリックスの合併は既成事実としてやってしまったわけであるから、結局やるだろう新規参入が早くなろうが痛くも痒くもない。むしろ、選手側は年俸ダウンのいい口実をつくってしまい事実上敗北である。
そして今の選手側の大方の本心は、新規参入の年度などどっちでもよいと思っているのではないか。そう思わせることがテレビであった。
福岡ドームでは押し寄せた2万人のファンにサインのサービスをするといって、一軍選手が出てきた。私は本当にファン思いだな、と思った。
しかしである。1〜2時間後、練習を口実に選手は引き上げたのである。
ストライキで今日は試合ないんじゃないの?
全員にサインしろとは言わないが、本当にファンに申し訳ないと思うなら、夕方までできる限り多くの人にサインしてもよいのではないか?つまり、選手は練習を口実に逃げたのである。
ああ、ヤッパリか。
私はやはり選手の多くは新規参入だろうが、合併だろうか、どうでもいいんだな、と思わざるを得なかった。
そもそも近鉄の経営難が発端だったのだから、選手一丸となってそれを阻止しようというのなら、全選手2割の年俸ダウンを条件に近鉄を救うことができたのではないか。
それをせずに、選手の最初の要求は、経営難の近鉄に「合併するな、ストライキするぞ」である。無茶苦茶である。
貧乏な家庭で生まれた子供が親に「金がなくても上流階級の生活をさせろ」と言っているに等しい。
しかし、そういう論点をぼやかしてファンを味方につけたのは、ひとえに選手会長古田の認知度と人柄である。
以前の大リーグのストライキは「給料上げろ」というもので同じ経営難時でも、本性丸出しで図式が分かりやすかったように思うのは私だけだろうか。