三島由紀夫の小説で実質的に読んだのは「仮面の告白」だけである。なんともシリアスで、気のおもくなったのを覚えている。
 だから、「美徳のよろめき」「青の時代」などは、買っただけで、本棚に眠っている。
 三島は最終的にはあのような自衛隊占領事件・割腹自殺を起こしたが、決して行動力のある人間などではなく、折れてしまうような繊細な神経を持っていたのだと思う(事件を起こした当時の日本刀の柱への傷は公的には保存されず、数年前に建物ごと取り壊されてしまったのは歴史的には残念だ)。
 三島の小説「仮面の告白」では、産湯を使ったときの情景が、覚えているはずがないと断りながらも、鮮明に映し出されている。多かれ少なかれ作家はそうだが、特に三島は精神分裂病だったと強く実感できる。
 あの早見優さんは、三島由紀夫について研究したそうだが、かなり充実した内容ではなかったろうか。
 メールでもいいから、機会があれば、聞いてみたいと思っている。
                         H11.8.20
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