子供の頃読んだ本に、2人の兄弟科学者の話があった。
2人の青年兄弟は、ともに総合科学研究所で研究に明け暮れる毎日。辣腕ぶりを発揮する2人だった。
そんな折、母の癌が判明する。今の科学ではどうしようもなく、余命3ヶ月と診断される母。父は少し前に還暦を済ませたばかり。
2人の息子は、癌治療が可能になる日まで、仲の良い両親を冷凍保存する。両親は息子たちに命を預けたのだ。
それ以来、兄は冷凍保存からの可逆的解凍方法を研究、弟は癌の研究に明け暮れる。
そして遂にその日が訪れた。両親は冷凍保存から生き返り、母の癌は治療される。
家族4人は抱き合って歓喜した。
母は、治療してくれた2人の老人の手に涙を落とした。