渡辺淳一という名前を知らない人はいないだろう。
 最近のドラマで決定的に有名になったが、彼は元々札幌医科大学の講師をやっていた。その時代から同人誌に入っており、直接の作家への道は同人誌新人賞がきっかけだった。その後、和田移植に皮肉を言うように「小説・心臓移植」を書き、大学には居ずらくなったようだ。
 誇張か本当か知らないけれど、心臓を取られるドナ−は、そのときうめくような声を出すそうだ。僕の頭からはそれが離れない。
 さて、彼の作風には4つあるようだ。
 直木賞を受賞した伝記もの恋愛もの自伝風もの。医学知識を生かした医学もの。まあ、こんな分類はどうでもよいが、僕は文学的にはやはり、伝記ものをかっているが、それでは彼らしくない。僕は自伝風ものが好きだ。
 しかも、読んでみないと、そうだと分からないと言うレア的な要素がたまらない。
 「阿寒に果つ」「失われた椅子」は彼の自伝風のものだと思う。
 彼はどうも北海道大学?のしかも他学部にいたようだ。しかも、そのとき、作家を目指して西日本の大学への編入試験を受けたと思われる。結局のところ、気の進まないできたばかりで訳の分からない札幌医科大学にはいったと言うのが有力と思われる。調査したわけではないが、私が、彼の本から取捨選択して推定した学歴である。
 しかも、本で彼は言う。「総合大学ではなく、単科大学がたまらなくいやだった」
 今の高校生には信じられない言葉だろう。
 彼はしかしながら夢を直木賞という形で叶えていく。
 岡村孝子の歌に「夢をあきらめないで」というのがあるが、白髪の混じってきた彼の人生はそのものが伝記になりつつある。
                         H11.8.16   
            
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