昨日、「最終章」といううたい文句で、辰吉丈一郎とウィラポンの試合が大阪ドームで行われた。
 彼は試合前、「今がいままでで一番強い」と言った。しかし、フックが何度か当たっただけで、ストレートはとうとう出せずに完敗し、引退を表明したようだ。
 今まで彼は何度も常識や規定をひっくり返してきた。
 網膜剥離になった選手は、少なくとも日本では引退を強要されるが、彼はそれを拒否して海外にわたった。それだけでもすごいのに、結局のところ日本プロボクシング協会は「負ければ引退で、今回だけ」などという訳の分からない措置をとることになる。
 しかし、薬師寺との試合で負けた彼は引退することなく、2度もタイトルに返り咲くことになる。
 私は、良い悪いは別として、辰吉のボクシング人生は、様々な分野の人に教えるものがあったと思う。
 行き詰まったり常識や規則に縛られている者は、何らかの方法で乗り越えることができるはずである、と。

    ブレイクタイムヘ         H11.8.30