命の炎

 子供の頃、超能力者と思われるC君の話を読んだ。振りかえるように人を見ると、その人の頭の上で「炎」が燃えているのが見えるというのだ。どういうことなのか、C君には最初分からなかった。
 とあるとき、振り向きざまに見た男の頭の炎が、今にも消えようとしているのが見えた。次の瞬間、青年は車にはねられ即死してしまう。そのとき、これは「命の炎」なのかもしれないとC君は思い始める。そういえば、子供は力強く大きな炎、老人は燃え尽きそうな小さな炎が見えるのだ。
 C君は「命の炎」が燃え尽きそうな人に、気を付けるように言うが、相手にされず次々と亡くなっていった。C君は次第に、この「命の炎」の運命を変えることはできないと悟る。
 そんなとき、何気なく振り向いた人の頭の炎が消えかかっていた。
 それは、ショーウィンドウの中のC君自身の炎だった。

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