橋本龍太郎元総理の亡き父親が元大臣というのは有名な話だが、母親の話を聞いたのは1997年死去する前後という人が多いのではないだろうか。
母親は父親の仕事の関係で、公的な会の長をする事が多く、ほとんど家庭で過ごすことのない人だったようだ。そんな彼女が腰を落ち着けたのは、皮肉にも脳卒中で病院に寝たきりになったときだった。
そんな母親を見舞うため、龍太郎は忙しい公務をぬって、病院に毎日のように顔を出したという。
さて、龍太郎には娘がいる。つまり、入院している母親からすれば孫である。
孫は、入学式も卒業式も記念日も忙しい祖母と過ごすことはできなかったという。そんな孫は、せめて結婚式を病院で開催したいと龍太郎に相談する。
妻の靴を毎日磨くという龍太郎は、その結婚式を実現させようと奔走した。
龍太郎は病院でやるとはいえ寝たきりでは失礼だと、祖母に車椅子に少しずつ乗る練習をさせたし、本人も目的をもって意欲的に行った。
そして結婚式の日には、祖母は車椅子に乗った姿勢でちゃんと孫を祝福した。