歯車

 中学のある先生が言っていた。「君たちには無限の可能性がある」
 高校の倫理社会の先生は、ショーペン=ハウエルやキルケゴールの話をしながら言っていた。「君たちには有限の可能性しかない」
 会社に属したり社会に出て、歯車の一部になるのは嫌だ、という人がいる。でも、この世の中に歯車の一部でない人がいるのだろうか。
 裸族だって、ひとりひとりが組織の歯車となって生きている。
 歯車のひとつひとつになりきればいいのだ。
 ただ、歯車には大きさがある。小さな歯車なら、一つの他の歯車しか回すことができないかもしれない。大きな歯車なら、いくつかの歯車を回すことができるだろう。回された歯車は、また他の歯車を回していく。まるでインターネット網のように…。
 一方で、歯車は限界を知らなければならない。だけど限界を知る前に、潜在能力を埋もれさすのも罪であることも知らなければならない。
 だから、中学の先生も高校の先生も正しいと思う。

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