私のおじの船には魚群探知機がついている。
ちょっと旧式だが、ちゃんと海底と魚群と誤電波を拾っている。
しかし彼は、めったにそれを使うことはしない。なぜなら、ハイエナ釣りをするからである。
新式の船が目指すところへついていくのだ。だから、彼の船は船体からして異常にスピードの出るエンジンを積み込んでいる。
そうだ。親戚一同、かなりコソクなのだ。
そういった船がイカリを降ろしたところには、大概多くの船が集まっている。
おじも、イカリを降ろして初めて魚群探知機を覗き込み、「いるいる」と言う。
「これじゃ魚群探知機いらないなぁ」と密かに思う。
おじは、ある時になると落ち着きがなくなる。それは、他の船がだんだんいなくなった頃である。
30分以上沖に出た海では360度ほとんど海のことがあり、良く晴れていてもナビゲーションがなければまっすぐに帰るのはちょっと苦しい。蛇行してしまうのだ。
だから船が少なくなると、私たちが来た方向へ帰る船に絶対についていく。
そういうことを繰り返しながら、見覚えのある山がかすかに見えたときにはほっと胸をなで下ろす。
むろん、同乗者はそんなことは知らない(と思う)。
だれかナビのゴリラをください(^_^;)