社会福祉士でも受けてみようかなと思ったのは、社会福祉士試験申し込み締め切りの前日でした。
特別奨学生として無料で福祉系大学を卒業していましたが、貧乏な私はお金がなくてずっと試験さえ受けられなかったのです。1万円少しも受験料を払ったら、その日から晩飯を食うことができなかったのです。
試験を受けようと思った日は、朝、道端で二万円を拾いました。交番に届けることも考えましたが、これで社会福祉士試験を受けることができる、という誘惑に勝つことはできませんでした。
私は社会福祉士試験の申し込みに郵便局に走りました。しかし、ここでも余計なお金がいることが分かりました。郵便は普通郵便ではなく、簡易書留でなくてはならなかったのです。
私は泣く泣く拾った二万円から、一日分の食費を削って郵便局員に渡しました。残りの六千円は、今月の食費となります。よほど根性を出さないと生きていけません。
お金のなくなった私は、あの高いワークブック(二冊)も必携社会福祉士(二冊)も買うことができません。無論、過去問もありません。
私に残された道は、今年、社会福祉士を同じように受験する同僚のコバンザメしかありません。彼は休みの日には、それらの本を机に置いて帰っていたので、ひそかに日曜日に職場のコピー機で丸一日かけてコピーをしました。もう、命がけです。
私はお金がなくて遊ぶこともできなかったので、このコピーはもうボロボロしわくちゃになるまで使い込まれました。重宝しました。持ち主の原本はほぼ新品で終わったようですが。
最後の関門は、県外の試験地にどうたどり着くかです。
以前拾った自転車でたどり着くしかありません。ここはもう根性しかありません。試験前日の朝出発して、試験当日の朝何とかたどり着きました。もうくたくたで、眠くて仕方ありません。試験より、この方が苦しかったです。
試験は睡魔と闘いながら、何とか終えることができました。
結果は合格。150満点中138点の合格です。
ところが、この試験の合格者には登録料と手数料が二万円近くいるのです。私は今日もお金が落ちていないか、下ばかり見て歩いています。