最近私はたまに、誰かから「あなた」と呼ばれる。
私は常々それは、商売用語・妻が夫に言う言葉・そして老人用語だと思っていたので、抵抗を感じていた。
広辞苑では「近世以降、目上や同輩である相手を敬って指す語」とあるけれども、私の場合は年上の方から言われることが多い。名前が分からない場合は「あなた」になってしまうこともあると思うが、名前は知っているはずの相手である。
よくよく観察してみると、どうやら悪い方の感情起伏があるときのようである(つまり、怒っている)。年上の人にとって、私を「おまえ」とか「こら」とか言うには、私が年をとりすぎたようである(30代です)。そういえば、10年前に怒られるときには、「〜くん」と言われていたが、それが「あなた」になったらしい。
今はわたしのことを、怒っていないときでも「〜くん」と呼ぶ人は、もう一人もいなくなってしまった。