筋萎縮性側索硬化症(ALS)と新しいALS観

 中年男子に主に発生し、錘体路と前角細胞に原因不明の変性を生じる病気で、上肢は一般に弛緩性、下肢は痙性麻痺、知覚障害はない。

 (今までのALS観)
2、3年後に呼吸筋麻痺で死亡する疾患である(と考えられてきた)。

 
(新しいALS観)
 呼吸筋麻痺をこえてALSを考えることが(新しいALS観)である。
 
眼球運動系も含めて、すべての随意運動系が麻痺した状態を全随意筋麻痺(TLS)という。呼吸筋麻痺は随意運動系のひとつの麻痺で、ALSの進行過程のひとつに過ぎない。呼吸麻痺後、呼吸器を装着したALS患者の約10%がTLSになる。つまり、90%の人は、呼吸筋麻痺が起こっても呼吸器をつければ生きていけるのである。その目安は5年とされている。

参考文献〜理学療法ジャーナル 2000年1月号「ALSの呼吸筋麻痺と呼吸器装着ー最近の考え方」,林秀明 東京都立神経病院神経内科
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