芥川龍之介を知らない日本人は、赤ちゃんと痴呆の人だけだろうか。
 でも、私たちはどのくらい彼を知っているのだろうか。
 学校時代の国語の教科書では、彼の小説がよく載っている。
 彼の文章は古典から出ていて、しかも短編ばかりで、知名度が高く、さらに文学性が高いからであろう。
 そういう私も彼の小説名はたくさん知っていても、ちゃんと読んでいるのは本当に短い「蜘蛛の糸」くらいのものである。あらすじは、次のようなものだったと記憶している。
 地獄に落ちたある罪人を助けるため一本の蜘蛛の糸がおろされた。なぜならお釈迦様は、その罪人の彼が蜘蛛を踏まなかったことを思い出したのだ。でもその罪人は自分だけ助かろうとしたが、みんながぶらさがって切れてしまった、という単純な話である。しかし、そこには、極限のときのむきだしのエゴイズムの認否が問われていると考える。
 でも、私のようなへそ曲がりは、一人だけ助けようとしたお釈迦様も罪人だと思うのだが。
 話をもどすと、芥川は辰年辰月辰日辰刻に生まれたので龍之介命名されたこと、何度目かで女性と入水自殺をしたこと、そして菊池寛が芥川賞をつくったことなど以上はよく知らない。
 みなさんはどうでしょうか。
 芥川に限らず、私たちは知っているようで身の回りの人のこともあまり知らないのではないだろうか。ここを読んだ方は、今から自分を含めて身近な人のことをよく観察してみよう。何か新しい発見があるかもしれませんよ。
        ブレイクタイムへ      H11.8.24