17歳から卒業した日、つまり18歳の誕生日、私は何もしなかった。
座りもせず、立ちもせず、動きもせず、しゃべりもせす、食べもせず、トイレにも行かなかった。視覚のほとんどは薄暗い天井以外、何にも向けられなかった。
天井の一区画の穴がいくつあいているのかを目を細めて数え始めるが、数えきれずに何度も繰り返した。眠るまで。
18歳最初の日に聞いた声は、とめどなく連続する悲鳴だった。その声をかき消すためには、天井の穴でも数えて、考え事をするしかなかったのだ。
18歳最初の日に会ったのは、知らない男の人だった。しかも、頭の上の気配を感じるだけでその姿は見えなかった。
それは病院で過ごした唯一の誕生日であった。